立体音響・音の絵本「赤鼻のトナカイ」国際福祉機器展当日レポート!!

ついにこの日がやってきました。2000年9月12日〜14日、東京・有明ビックサイトにて、国際福祉機器展が開催されました。
前日の仕込みから注目を浴びまくるローランドのブース。福祉という場でローランドというブランドがめずらしいということもありますし、はっきりいってダントツにブースがカッコイイ。派手なところは沢山ありましたが、ブースのデザインがいい、センスがいい、という点では、抜群でしたね。
今回は、白石@Luna女王様は、仕事の都合で欠席。本来なら、Lunadfuegoのメインテーマともなるべきこのイベント、総力を挙げて臨みたいところなのですが、致し方ありませんな。

仕込み日

本番の12日、正直、お客さんが来てくれるのか、来てくれても反応がどうなのか、すっごく不安でしたが、開けてみると、3日間、押すな押すなの大盛況で、これには出展した私もローランドさんも、あまりのリアクションの大きさに驚かされました。
AESやInterBEEは、どんなに規模が大きいと言っても、結局、業界の内輪のイベントです。
それが、この福祉機器展は、広く一般をターゲットにしていて、出展社も、自動車、住宅、電気機器、医療、衣料、風呂やトイレなどの水回り、まるでデパートのようにオールジャンルが集まっています。
その中へ、楽器/音響メーカーが参入し、音響家が「音響家でございます」と名乗って福祉に関わるというのは、言ってみれば、内海から外洋へ漕ぎだした、といったところでしょう。
そういう、先の見えない冒険に敢えて挑戦されたローランドさんには、心から敬意を表します。

日本音響家協会の会報に掲載された「音響家の価値」というタイトルでの座談会に参加させて頂いた時に、「音響家としてもっと一般にアピールしていかなければならない」と、座談会に出席された方々が(私も含めて)異口同音におっしゃっていた、それに対する私なりのアンサーが、この福祉機器展への参加であります。
音響の現場の仕事に従事する私が、プロ音響の業界の展示会ではなく福祉機器展という通産省や厚生省や自治体中心の展示会に敢えて音響家という立場で出品するのは、月刊放送技術98年3月に書きました「音響は音響の中だけで内側向いて話をしていてはいけない。外へ向かって、社会とコネクトしていかなくてはいけない」ということへの、私なりのアンサーであります。また、車イスや介護ベッド等「目に見えるものだけが福祉ではない」という、音を扱う者からの提示でもあります。

更に「福祉は健常者が障害者や老人に何かを『してあげる』のではなく『共に生きる』ということではないのか」という提示を、「音の絵本」を出品するということで、入院中の子供達や目の見えない子供達だけでなく、普通の子供達に「耳をそばだてる」ことを知ってもらうための物を知ってもらいながら、福祉の定義を考え直してもらう、という提案でもあります。
誤解の無いように念を押しておきますが、名を売るためにやっている訳でもありませんし、福祉機器展にあわせて音の絵本を制作した訳でもありません。音の絵本自体は、かれこれもう7年以上も、個人のボランティア活動として、細々とではありますが続けてきたことで、今回はそれをローランドさんが認めて評価して下さった、ということで、大変有り難く喜ばしく誇らしいことです。

画像をclickするとムービーが御覧頂けます。

また、売名行為ではないという理由として、私が常々申し上げている「音響のアルファとオメガ」を、もう一度ここに記しておきましょう。
「音で人は幸せになれる。音で人が傷つき、死んでしまうこともある。
私達音に関わる人間はすべからく、自らの扱う音の響力の大きさを自覚し、願わくば一人でも幸せになって貰いたい。
これが音響のアルファでありオメガであります。」

これに対しては、特に若い方々から、沢山のメールを頂戴いたしました。やはり、音響の世界の若い世代、21世紀を担う世代に一番足りないもの、飢えているものは「モチベーション」なのだと、改めて再認識した次第です。
放送技術2000年1月号では、これを更に突き詰めていくと、それが音響であれどんな仕事であれ、「人は何のために生きているのか」という、有史以来の人間の永遠のテーマに行き着くことをお話しいたしました。
これに対し私は、先に記した「音響のアルファとオメガ」に添って答えを導きだすと、
「人は幸せになるために生きているのだ」
という、当たり前で単純でもっとも実現不可能な答えが出てくることをお話しいたしました。

これを、福祉機器展で、「世の中には音響家という人種がいて、音の世界で働いている人達がいて、その人達の中には、自分たちが扱っている音を介して、一人でも人が幸せになれたら、と考えている人達がいるんだ」ということをアピールしたかったのです。それが、今回の出展の根幹であり、それが伝われば、今回の出展は大成功なのです。
出展ブースでのデモンストレーションは、伊東さんが「サイン音とコミュニケーション、インフォメーション」について、私から「音の絵本」について、長谷川さんから「電子楽器で遊ぶ」について、プレゼンをしました。

また、音の絵本は、試聴コーナーを設けて、何時でも自由に聴いて貰えるようにしました。
通りがかった人達、目の見えない人や車椅子の人、お年寄りの人、筋肉や神経に障害のある人、知的障害の人(これってスゴイ単語ですよね、こんな言葉使いたくないんですけど、他に該当するものが見当たらないもので、すみません堪忍してください、どなたか詳しい方、メール下さい、教えて下さい)、妊婦さん、子供達、いろんな人達が、「え?音の絵本?」と足を止めてくれて、ヘッドホンをかぶり、一瞬「えっ!?」と驚きの顔になり、それから「わぁっ」とパァッと顔が輝く、笑顔になる、そんな瞬間をこの3日間で何度目の当たりにしたでしょう。400回は越えてたな。一日の開催時間が10時から17時までの7時間、3日で21時間、1時間に約20回、平均して約3分に1回はそんな光景を目の当たりにしてたことになります。

本当に来てよかった。私は幸せです。おいで下さって聴いて下さった方々みんなに、心からお礼を申し上げます。
それから、試聴コーナーに3日間張り付いていて下さって、「人の切れ目がないよ〜!」と悲鳴を上げながら、実際食事を摂る時間もなかったと思いますが(それだけ試聴コーナーは、押すな押すなの大騒ぎの3日間でした)、ずぅっとニコニコして応対して下さって、車椅子が来ればサッと椅子をどかして「さぁどうぞ」と勧めてくれ、お年寄りの方や、聴いてみたいんだけど試聴コーナーに近づくのをためらっている人達に「さぁどうぞ」とにこにこしながらヘッドホンを差し出していてくれた、ローランドの井上さん。
本当に有り難うございました。井上さんのおかげで、あったかい試聴コーナーになりました。心から感謝と敬意を表します。


この福祉機器展の開催中に、既に多数の問い合わせを頂き、「音の絵本 赤鼻のトナカイ」は、いくつかのシンポジウムと、点字図書の展示会への参考出品が決まっています。
音の絵本プロジェクトは、これからますます、大きく広く展開していくことになりそうです。
御期待下さい。

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Special Thanks
ぢょー中山、宮城好子さん、ローランドの川内さん、飯田さん、掛川さん、井上さん、村井さん、調布市のボランティアサークル「ルーナ・プレーナ」の代表中島尚美さん、有り難うございました。
大勢の子供達の声、のSEに参加して下さった、ローランドの女性社員の方々、私の妹、由希子とそのお友達、由希子の旦那様ローラン・ボルニッシュ、有り難うございました。
最後に、可愛い声で「ありがとう赤鼻さん」の台詞を言ってくれた、私の息子、壮一(4歳)へ。
1週間「ありがとう赤鼻さん」って練習したんだよね。頑張ったんだよね。
ありがとう。愛してるよ。

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