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 先月からお話ししている「インカムのその先にあるもの」その2回目です。

 インカムが光ファイバー線とデジタル化によって、音声と映像を共に扱えるようなインテリジェント通信連絡回線に生まれ変わってくれたら。
 開演前。ロビーの入場口の様子は、下手操作盤と音響室、調光室でインカムの映像回線で見ることが出来るようになります。(現在これが出来る劇場・ホールは殆どありません)
その絵を見ながら舞台監督・照明・音響で、開演を何分押すのか、どのタイミングで開演にするのかインカムの音声回線で相談します。今までは表方が走り回って連絡をしていて、それが故に絶妙の開演のタイミングを逃したり、連絡が行き違いになって舞台監督と照明と音響が噛み合わなかったりしました。

 本番中。オーケストラピットの指揮者の指揮の映像は、操作盤、調光、音響室、舞台袖、客席、どこでも見ることが出来ます。指揮者がカメラに向かってキューを振れば、調光、音響が指揮者のタクトでオペをします。陰コーラスも、どこにいても出来ます。その映像に、舞台監督でも音響でも、字幕や歌詞、メッセージ、連絡事項などの文字データをインポーズ出来ます。
指揮台に取り付けた液晶ディスプレイや、プロンプターボックスにはめ込んだ液晶に、舞台袖の舞台監督や幹事室の演出家が指示を送ることも出来ます。「早替わりが間に合ってない!歌の終わりを少し引っ張って!」
といったように。こういうことは従来は不可能で、袖から舞台監督が身振りで伝え、出演者は意味がわからず集中力がとぎれ芝居のテンションが下がり、と、いいこと無しでした。

 奈落で歌手が迫りに乗り込み、マイクを受け取って、歌いながら迫り上がってくるシーンでは、奈落の様子を音響室で見ながら卓で検聴出来ます。もちろん舞台監督や舞台操作室でも安全確認の為に同じ絵を見ています。が、聞いている音声回線はみんな別々バラバラのものを聞いています。そういうチョイスが各セクションで自由にできます。

 回線は劇場・ホールの外にも広がっていきます。建物の外とホールの中で同時進行で行われるイベントやパレードが増えてきていますが、連絡手段であると同時に情報蒐集手段でもあるインカムに、映像も乗っかっていればこんなに安心で心強いことはありません。それは、中継収録も同じです。ISDNにより、劇場屋ホール、スタジアムと放送局のスタジオを結ぶ中継収録の有り様がガラリと変わる、という話を、私は1994年の段階で御紹介させていただきました。今度はインカムが新しい情報連絡回線となって、また更に中継収録の有り様を大きく変えていきます。

 スポーツイベントのショーアップ化はどんどん増殖し且つ高度化していきます。インカムは、単に連絡を取るための手段だけではなく、映像を共に扱うことで、情報を得る手段にもなるということです。
 これで私が、二ヶ月にわたって、インカムの改革の必要を強く訴え、「それはもはやインカムではない」
「インカムのその先にあるもの」とお話しし続けてきた意味が、お分かりいただけたでしょう。

 音声と映像を共に扱い一元化した、通信回線であると同時に情報蒐集回線を光ファイバー線によってワイヤリングし、各セクションに複数の液晶或いは小型の収納型液晶ディスプレイを搭載した、従来のインカムステーションに替わるものを配置する。この管理、管轄は監視カメラまで含めて劇場・ホールの音響担当が機種選択もプランニングも併せて行う。
 これが私が是非にと実現を願う、「それはもはやインカムではない」「インカムのその先にあるもの」の展望です。

 ここでお話させていただきましたことは、全く私の現場からの希望でありまして、現在の時点でそれらが技術的にどこまで可能な段階にきているのか、ということを含めて、まだまだ私には知らないことが沢山あります。
 これから先、従来のインカムを中心に、監視カメラ、回線、液晶、それぞれについて、詳しく御存知の方々に是非いろいろ御教授頂き、より練り上げる作業をしたいと強く思う次第です。

 また更に、放送局の中継収録の方々にも、私のこの構想が、他にどんな可能性を持つことが出来るのか、私の立場からは想像できない未来を、是非お話し頂きたいと思います。

 まず、とってもどうでもいいことですがとっても考えていて楽しい、「名前」を考えましょう。名称、仮称、呼び名です。「それはもはやインカムではない」
「インカムのその先にあるもの」ではまどろっこしくていけません。未来を考えるのは、楽しくてウキウキすることが大事です。そのウキウキのために、名前を考えるという、どうでもいいことかも知れないけれど楽しい作業をしてみましょう。

 みんなで、未来に希望の持てる話をしましょう。楽しくてウキウキすれば景気も良くなります。未来の希望に技術の進歩が伴走するんです。技術の進歩だけ先に走っても、未来や希望はついてきません。

 その先にあるもの、へ。

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